森を守るヒントを探しに
林業先進国へ
「よーし、ビールをつくってみよう!」
そう決意できた理由のひとつに、ビールとの思いがけない出会いがありました。ヨーロッパへ林業の視察に行ったときのことです。
かつて林業を営んでいた社長の生家には、“東京ドーム4つ分の森”があります。日本での森の管理や維持の方法を学んでいくうちに、海外のやり方も知りたくなって、ヨーロッパへ行くことにしたのです。
訪れたのは、オーストリアやドイツ。作業の様子を見せて もらった後には、現地の“木こり達”と、ビールを酌み交わす機会がありました。
ビールは、村や街ごとに昔から続いている、小規模な醸造所でつくられたものです。多彩な風味や特徴あるビールで、楽しい時間を過ごしたことをよく覚えています。
帰国してからは、「いろいろな味わいのビール、日本でも気軽に飲めたらなぁ」と思っていました。 そして、ついには、「クラフトビールを《ウチの薪》でつくれたら、おもしろいよね~」と、考えてしまうようになったのでした。 そんな時に出会ったのが、日本のみならずドイツのブルワリー経験もある、北條でした。彼がブルワーとして参画したことで、ビールづくりが本格的に始まりました。
▶定番の『木こりのビルスナー』は、ドイツの木こり達と飲み交わしたときの感動をレシピにしました。チェコのピルスナーよりも、ドライで苦みがちょっと強く、色が淡い、ドイツ風のピルスナー。弊社のは、ドイツのものと比べてみると、ちょっとビスケットのような風味を感じられます。
1本の木を
大切に使い切りたい
「クラフトビールを《ウチの薪》でつくれたら、、、」
そう考えたのには、理由がありました。
薪を製造するときに、端材がうまれます。木の根っこの近くや二股の幹の部分も、薪割り機で割ることができないので、商品にするとしたら、たいへんな労力がかかってしまいます。
そのため、これらの売り物にならない部分を、どう活用しようかと、ずっと思案していたのです。
はじめのうちは、これらは「産業廃棄物」として処分場にだしていました。処分場では、大型の機械で粉砕して、バイオマス発電の燃料などに再利用できるので、資源としては無駄にはなりません。
ただ、「1本の木を大切に使い切りたい」という思いをずっと抱いていました。ですから、薪のすべてを無駄なく使ってつくるクラフトビールを、いま、皆さんにお届けできることが、とてもうれしいのです。
商品にできない薪が
ビールづくりとつながった
フォレストブルーイングでは、クラフトビール事業の開始段階で、薪の端材や商品にならない薪の活用を決めていました。
「資源を無駄なく使い切るという課題」の解決と、「多彩で楽しいビールをつくりたい」という想いとが、”薪でつくるビール”という1つの形になりました。
▶ビールづくりに、薪はどう利用されるの?
ビールづくりにおいて、“麦汁(ばくじゅう)”をつくる段階、いわゆる「仕込み」の工程で、大量のお湯が必要となります。そのお湯は、ふつうは灯油やガスボイラーで作られていると思います。
私たちは、薪の製造の際にできる端材や商品にできない薪を、廃棄せず、「薪ボイラー」の燃料に活用して、お湯を作っています。
※「薪ボイラー」の購入は、クラウドファンディングを通じて、大勢の方が応援してくださいました
森につながる新しい価値を
創造したい
私たちは、『ビールを通じて、”森につながる新しい価値”の創造』を目標のひとつにしています。
かつて入会地のような形で共同利用されていた山(日本では、森と山は同じ意味で使われることが多いようです)は、煮炊きや暖房などの燃料に薪や炭が使われなくなったことで、人が足を踏み入れなくなっていきました。
山や森が、人の生活から遠のいてしまったことが、荒れてしまった原因のひとつなのでしょう。森林資源を活用した「薪でつくるビール」が、「身近な山や森の状況を知るきっかけ」になったらと、思っています。
その身近な山に自生する、ナラやブナなどの雑木を燃料にした薪や炭は、CO2を放出するだけの化石燃料とは異なります。雑木は、伐採しても切り株からは新しい芽がでてくるので、自力で林や森に回復します。その際、再度、成長の過程でCO2を吸収し、炭素分を体内に留めてくれるのです。
ただ、ナラなどは、大木ほど生命力が弱まってしまうのか、幹を食べる虫に負けてしまいます。そのため、樹齢が高い木の多い山では「ナラ枯れ」が広範囲に発生しやすくなってしまいます。ですので、再び人の手を加えていくことは、山を元気にするための方法のひとつだと考えています。
ちなみに、定期的に伐採することは、実利面でもよいことがあります。エネルギー料金の高騰で、社会生活が大きな影響を受けていますが、薪をビールづくりや暖房に利用できることで、光熱費を安く抑えられています。
お家にいながら
「森で過ごしている」気分に
時代が移りゆくなかで、生活から山や森が遠のきましたが、余暇に森林浴やハイキング、キャンプなどを体験している方も、いらっしゃることでしょう。
ビールのラベルは、「森の美しい情景や空間を感じてほしい」という想いをこめて、デザインしています。もし、「お家にいながら、森で過ごしているような気分を味わえた」のなら、これも”森につながる”ことなのではと、思っています。
もちろん、アウトドアで焚火を囲んだときや音楽フェスなど、自然を感じながら外で過ごす楽しいひとときにも、ぜひ味わっていただきたいです。
ですから、私たちのビールが、「人と森との距離を縮めるきっかけ」になったとしたら、とてもうれしいです。
そんな想いが、一緒にグラスを傾けるご家族やお仲間、お贈りした先の方々にも伝わっていって。ビールを飲むひとときが、もっともっと楽しいものになればイイナ、と想っています。